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企業の中での「整える時間」をどう実装してきたか
ウェルビーイングファシリテータの神田です。 この連載では、以下の流れでウェルビーイングと作業療法について扱ってきました。 望ましい未来を実装するために、ウェルビーイング事業を始めます 作業療法の世界①―その人らしく生きるを支える仕事― 作業療法の世界②―心とからだと作業― 作業療法の世界③―バランスが崩れるとき、人はどうなるか― 作業療法の世界④―ニットプログラムはなぜ整う時間になるのか― 本記事では、その流れを受けて、企業の中でどのようにこの取り組みを実装してきたのか、この1年の実践を通じて見えてきたことを中心に整理します。 はじまりにあった問い 以前私は、自分の仕事と生活と編み物に関する個人的な背景や問いについて書いてきました。 参考: 鬱でも不登校でも仕事を辞めないでよかった 忙しさの中で、自分の状態に気づかないまま働き続けてしまうこと。不調が表面化して初めて、ようやく立ち止まることになる構造。 そうした状況に対して、何か別の関わり方ができないかと考えたことが、この取り組みの出発点でした。 個人の問題ではないのではないか...
神田 ゆりあ
4月17日読了時間: 5分


作業療法の世界④―ニットプログラムはなぜ“整う時間”になるのか―
こんにちは。作業療法士の木村です。 前回 は、日々の生活の中で「作業バランス」が崩れると、不調につながっていく可能性があることをお話ししました。 では、その崩れたバランスは、どのように整えていけばよいのでしょうか。 今回は、そのバランスをどのように整えていくのか、そして株式会社Hyper-collaborationと一緒に取り組んでいるニットプログラムが、なぜその一助となるのかについてお話ししていきたいと思います。 この取り組みは、単なる個人のリフレッシュではなく、企業の中で人が持続的に働き続けるための基盤として位置づけています。 あたま、からだ、こころ 作業療法士が治療で使う「作業」について、少し説明していきます。 作業療法士は、その人にとって大切な作業ができるように介入を行います。しかし、大切な作業ばかりが治療対象になるわけではありません。 作業は、物品を媒介に自分の体を使って行われます。 例えば、朝起きてパジャマから洋服に着替えるときには、手や体を使って洋服を操作することが「着替えをする」という作業になります。 ですからまずは、洋服

木村奈緒子
4月13日読了時間: 5分


作業療法の世界③―「バランス」が崩れるとき、人はどうなるか―
こんにちは。作業療法士の木村です。 前回 は、心が動くことで体が動き出し、その人にとって大切な作業が回復のきっかけになることについてお話ししました。 今回は、作業療法で大切にしている「作業バランス」についてお話ししていきたいと思います。 「健康」を支えている日々の生活のバランスとは、どのようなものなのでしょうか。 自分は健康だ……でも。 Aさん やりがいのある仕事をバリバリやっている。最近、昇進もした。 でも……なんだかぱっとしない気持ちになることがある。 Bさん 仕事は充実しているし、土日は家庭サービス。子どもたちも順調。 でも……このままずっとこの生活が続くのかと思うと、空しい気持ちになる。 Cさん 仕事をしながら、家事も育児もやっている。休みの日は子どものスポーツの応援に、お弁当を作って出かける。周りからは「よくやっているね」と言われる。 でも……毎日どこかで、何かに追われているような感覚がある。 この3人は、このブログを読んでくださっている方のどこかに当てはまるものがありませんか。 体も動いているし、心も動くような作業も行

木村奈緒子
4月10日読了時間: 3分


作業療法の世界②―心とからだと作業―
こんにちは。作業療法士の木村です。 前回 は、「その人らしく生きること」を支える作業療法についてお話ししました。 その中で、「自分にとって大切なことができていること」そのものが健康である、という考え方をご紹介しました。 では、その「大切な作業」は、どのようにして成り立っているのでしょうか。 あなたにとって大切な作業は、何ですか。 それは、気持ちが落ち込んでいるときでもできるでしょうか。 あるいは、体が思うように動かないときでも、同じようにできるでしょうか。 今回は、「心」と「からだ」、そして「作業」の関係について考えていきたいと思います。 ある患者さんのお話 ある高齢の女性が、足を骨折して入院していました。 一人でトイレに行くこともできません。 「もう自分は二度と歩くことはできないかもしれない」 そんなことが頭をよぎり、ふさぎ込んでしまって、布団から起き上がることができなくなっていました。 そこはリハビリの専門病院でしたので、リハビリをしないと始まりません。様々なスタッフが入れ替わり立ち替わり、毎日リハビリに誘うのですが、なかなか

木村奈緒子
4月6日読了時間: 4分


作業療法の世界①―「その人らしく生きる」を支える仕事―
こんにちは。作業療法士の木村です。 普段は、作業療法士を養成する大学で、未来の作業療法士の育成に携わっています。現在、Hyper-collaborationとともに、ニットプログラムに関する取り組みを進めています。 その中で、「なぜ編み物なのか」「なぜそれが人の生活に影響するのか」と考える中で、作業療法の視点が大きく関わっていることを実感しています。そこで今回、作業療法という分野について知っていただきたいと思い、お話しします。 突然ですが、 「好きなことができなくなったとき、人はどうなると思いますか?」 例えば、 ケガをして体が思うように動かなくなったとき。 あるいは、気持ちが落ち込んで、何もする気が起きなくなったとき。 人は、ただ「不便になる」だけではありません。 それまで当たり前にしていたことができなくなると、「自分らしさ」そのものが揺らいでしまうことがあります。 作業療法士は、そうした状態にある人に関わる専門職です。 単に体を動かせるようにするだけではありません。 その人にとって大切な生活。 つまり、「その人らしく生きること」です。 それを

木村奈緒子
4月3日読了時間: 3分


望ましい未来を実装するために、ウェルビーイング事業を始めます
エンタープライズアーキテクトの吉田です。 今日は、私たちが昨年から準備してきている、ウェルビーイング事業について、なぜこの事業を開始するに至ったのか、ご紹介したいと思います。 Hyper-collaborationは、 望ましい未来構築に誰もが主体的に参画できる社会に転換する ことをミッションに掲げていますが、昨今、この「望ましい未来」という言葉の響きそのものが、少し変わってきているように感じます。 AIの急速な進化。 先の見通しが立ちにくい経済状況。 世界各地で起きる不安な出来事。 そして、日々流れ込んでくる膨大な情報。 こうした変化の中で、ビジネスそのもの、そして、私たちの心身には、想像以上の負荷がかかっています。どれほど優れたビジョンや戦略があっても、それを動かす人の心身が削り取られてしまえば、共創も協働も成り立ちません。 心身の健康こそが、望ましい未来を支える土台である という、あまりに当たり前のことに対して、あえて、それを実現するための「備え」が必要である時代になってきていると強く感じるようになりました。 人は、働くためのパーツではなく

吉田 裕美子
3月30日読了時間: 5分


「職場のメンタルヘルスシンポジウム」に参加しました
こんにちは。ウェルビーイングファシリテータの神田です。11/13に行われた、 令和7年度「職場のメンタルヘルスシンポジウム」 に参加し、基調講演、3社の事例発表、パネルディスカッションを拝聴してきました。私たちがこれから組織づくりを進める上でも、ウェルビーイング領域の事業を検討する上でも、有益な示唆が多いと感じています。理由は、標準的なメンタルヘルス対策の全体像が整理されており、中小企業でも実践しやすい構造で示されていたためです。せっかくなので簡単にレポートしてみたいと思います。 シンポジウム内容のポイント 基調講演 では、厚生労働省が示す「4つのケア(セルフ・ライン・事業場内・事業場外)」が改めて整理され、ストレス要因や相談行動、ゲートキーパーの役割など、日常的なマネジメントに直結するポイントが明確に説明されていました。 特に、「仕事や生活が継続的にうまくいかない状況」をセルフケアの相談目安とする視点は有用だと考えています。一方で、うまくいかないだけでは相談に踏み出しにくい方も多く、自分の状態を振り返り、言語化する機会そのものが必要だと感じまし
神田 ゆりあ
2025年11月26日読了時間: 3分
![[最終回]仲間募集と未来像へ](https://static.wixstatic.com/media/7e3c6b_991f948154044b53ae50bd8f22cc8307~mv2.jpeg/v1/fill/w_444,h_250,fp_0.50_0.50,q_30,blur_30,enc_avif,quality_auto/7e3c6b_991f948154044b53ae50bd8f22cc8307~mv2.webp)
![[最終回]仲間募集と未来像へ](https://static.wixstatic.com/media/7e3c6b_991f948154044b53ae50bd8f22cc8307~mv2.jpeg/v1/fill/w_304,h_171,fp_0.50_0.50,q_90,enc_avif,quality_auto/7e3c6b_991f948154044b53ae50bd8f22cc8307~mv2.webp)
[最終回]仲間募集と未来像へ
休むことも頑張ることも、大切にできる社会を目指して ウェルビーイングファシリテータの神田です(最終回で初めて肩書付きで名乗ってみました)。これまでの連載では、私自身の体験や編み物が心の支えになったこと、そして小さな場づくりの試みについて書いてきました。最初にお伝えした「鬱や不登校対応を抱えながらも仕事を辞めずに続けられた体験」の記事。その背景には、一人でも多くの人が鬱にならずに切り抜けられるように、回復の時間を持てる社会にしたいという願いがありました。 この数か月、いろんな方とお話しするなかで、たくさんの学びをいただきました。進化の谷理論のように、変化の過程に必ず訪れる不安定な時期があること。頑張ることと休むことは矛盾しないという視点が、自分を責めずに立ち止まる勇気をくれること。そんな考え方に出会えたのも、多くの方々や専門家との対話があったからだと感じています。 ループ付きニッタオル(手編みハンカチ) そして今、ようやく一歩先の実践に向けて動き始めました。来月には初めて企業での実施が決まり、私はわくわくと毛糸や編み針を準備しています。これまで机上
神田 ゆりあ
2025年10月25日読了時間: 3分


正直である勇気を持つ
全部は書けないけれど、嘘は書かない 神田です。 前回 は、専門家との協働がひらく可能性として作業療法士(OT)とのパートナー関係について書きました。 少し話は変わりますが、今回のタイトルは、Hyper-collaborationのバリューの一つでもある「正直である勇気を持つ」です。私はこの言葉が好きです。この会社のサイトには少し風変わりな連載を書き始めたときから心に決めていることがあります。嘘や誇張は書かない。 それが、私にとっての正直さです。 すべてを書かない理由 個人の体験や、進行中の取り組みには他者のプライバシーが関わります。また、私自身がまだ言葉にできないこともある。だから「全部」は書きません。それでも、書くと決めたことについては、装わずに、今の等身大で向き合いたいと思っています。 正直でいることの難しさ 正直に書くのは、たまに少し怖いです。進んでいないことや、迷っていることを書くと、「弱さ」をさらしてしまうように感じるからです。それでも、うまくいかない現実をなかったことにはしません。いいことだけを並べるより、足元を確かめながら歩くほうが
神田 ゆりあ
2025年10月18日読了時間: 2分


専門家との協働がひらく可能性
神田です。 前回 は新しく始動してみる小さな場、「ほっこり編み物タイム」をご案内しました。今回は5回目、この連載もなんとか1ヶ月を越えました。 体調が整わない中、休養多めに過ごしていたあるシーズン、私はとにかく編み物をして過ごしました。「ただの暇つぶし」だと思っていたけれど、気づけば驚くほどたくさんの作品が手元に積み重なっていたのです。 小物からセーターやカーデガンまで多種多様な作品たち こうして並べてみると、編むことが単なる趣味以上の意味を持っていたのではないかと思えてきます。実際に調べてみると、海外では「ニットセラピー」という考え方があると知りました。 そこから「編むことをウェルビーイングにつなげられないか」と考え始め、作業療法士(OT)で大学教員の友人に相談しました。すると彼女は快く協働を引き受けてくれて、今ではプログラム設計や観察・評価の方法などを一緒に議論するパートナーになっています。 作業療法士とは、医療と日常生活をつなぐ専門職です。病気やけがのリハビリだけでなく、「その人が自分らしく生活できること」に焦点を当て、手作業や活動を通じて
神田 ゆりあ
2025年10月10日読了時間: 2分


小さな場づくりを試みる
神田です。 前回 は、最初に編み始める時のポイントについてお話ししました。 小さな場づくりの試みについて、お知らせとお誘いです。 3種類の糸を使って編んだペンケース 編み物は、ちょっとした余り糸でも実用的なものに生まれ変わります。以前私がカバンやポーチで余った糸を使って編んで、1年近く使っているペンケースをご紹介します。飾るためのアートだけでなく、実用的なものを作れるのも、編み物の大好きなところだなと感じています。 私は編み物を、ただの趣味ではなく「心を調整する営み」として大切にしてきました。そして、その時間をひとりで持つことももちろん大切ですが、誰かと一緒に編む体験にはまた違う力があると感じています。笑い合える、励まし合える、言葉にしなくても「同じ時間を過ごしている」という安心感がある。 そんな「一緒に編む場」を作りたいと考え、少しずつ試みてきました。編み物したい人とカフェで集まったり、初めて編み物をする人にちょこちょこアドバイスしながら一緒に編んだり。そんな小さな集まりが、私にとって大きな励みになっています。 そして今回、お試しの活動としてオ
神田 ゆりあ
2025年10月3日読了時間: 2分


小さな一歩から始める
編み物の最初のハードルを越える工夫 前回 は、編むことがくれる余白、どのように編み物が私を助けてくれたかについて書きました。 今回は編み物を始めるときのお話です。 編み物を始めてみたい、でも自分にできるだろうか? そんな迷いを持つ人は少なくありません。私自身も最初は同じ気持ちでした。針と糸を前にして「正しく編まなきゃ」と思うと、かえって手が止まってしまうのです。 そこで私を助けてくれたのは、いくつかの小さな工夫でした。 アクリルタワシ。色の組み合わせだけでも気分が変わります 1. 小さな作品から始める 最初から大きな作品に挑む必要はありません。タワシやコースターのような小物は、短時間で形になるので「できた!」という実感を得やすい。小さな達成感を積み重ねていくことで、自分に「続けられるかも」という信頼が芽生えます。 2. 誰かと一緒に編んでみる 独学で悩むよりも、誰かと並んで針を動かすと気持ちがぐっと楽になります。間違えても「そういうことあるよね」と笑い合えるだけで、続けるモチベーションが上がります。この「一緒に編む体験」は、今回の取り組みが大切に
神田 ゆりあ
2025年9月27日読了時間: 3分


編むことがくれる余白
手のリズムが心を調整する 前回 は、神田個人が、鬱や不登校対応を抱えながらも仕事を辞めずに続けられた体験を書きました。 今回は、その支えになった「編み物」についてお話ししたいと思います。 仕事や子育てに追われ、気がつけば心が張りつめている、歯を食いしばっている――そんな経験はありませんか。 私にとって、編み物はその張りつめを緩めて、解いてくれる時間でした。 編むという行為は、とてもシンプルです。 同じ動きを繰り返し、少しずつ形が積み重なっていく。目を数え、針を動かし、糸の感触に注意を向ける。 それだけで、余計な思考が静まっていきます。 完成品を目指す必要はありません。 「今日はここまで」と区切るだけで、小さな達成感が残ります。 疲れていても「少しだけならやってみよう」と思える、その気軽さも魅力です。 私自身、鬱でエネルギーを失っていたとき、隙間時間に「ちょっとだけ編みたい」と感じられたことが、回復の大きな助けになりました。 段ごとに一定のリズムの繰り返しで編み進めます 針を動かしている間は、まるで頭の中がスッと静かになる。 それは短い時間でも、自
神田 ゆりあ
2025年9月19日読了時間: 2分


鬱でも不登校でも仕事を辞めないでよかった
謝るより、ありがとうでつながれたら Hyper-collaboration立ち上げからメンバーとして活動している神田ゆりあです。 突然ですが、個人的な話をさせてください。 私はこれまでに、二度の鬱による休職と二人の子どもの不登校を経験しました。そのなかで何度も「仕事を続ける...
神田 ゆりあ
2025年9月12日読了時間: 2分