作業療法の世界③―「バランス」が崩れるとき、人はどうなるか―
- 木村奈緒子

- 2 日前
- 読了時間: 3分
こんにちは。作業療法士の木村です。
前回は、心が動くことで体が動き出し、その人にとって大切な作業が回復のきっかけになることについてお話ししました。
今回は、作業療法で大切にしている「作業バランス」についてお話ししていきたいと思います。
「健康」を支えている日々の生活のバランスとは、どのようなものなのでしょうか。
自分は健康だ……でも。
Aさん
やりがいのある仕事をバリバリやっている。最近、昇進もした。 でも……なんだかぱっとしない気持ちになることがある。
Bさん
仕事は充実しているし、土日は家庭サービス。子どもたちも順調。 でも……このままずっとこの生活が続くのかと思うと、空しい気持ちになる。
Cさん
仕事をしながら、家事も育児もやっている。休みの日は子どものスポーツの応援に、お弁当を作って出かける。周りからは「よくやっているね」と言われる。 でも……毎日どこかで、何かに追われているような感覚がある。
この3人は、このブログを読んでくださっている方のどこかに当てはまるものがありませんか。
体も動いているし、心も動くような作業も行えている。
でも、何か物足りない。気持ちが豊かになれない。
あなたにも心当たりはありませんか。
作業療法の研究では、日々の生活の中での「作業バランス」が、その後の健康状態に影響することが分かってきています。
少し古い研究ではありますが、スウェーデンで行われた研究では、仕事・家事・余暇・休息といった日常生活のバランスが崩れている人ほど、その後、ストレスに関連した不調を起こしやすいことが示されました。
特に特徴的だったのは、次のような状態です。
仕事のあとに、家のことをするエネルギーが残っていない
仕事のあとに、趣味や人と過ごす余裕がない
数日休んでも、十分に回復した感じがしない
生活全体のバランスがうまく取れていないと感じている
こうした状態にある人は、そうでない人に比べて、将来的に心身の不調を生じる可能性が高いという結果でした。ここで重要なのは、「ストレスを感じているから不調になる」という単純な話ではない、という点です。
この研究では、作業バランスの崩れと不調の関係は、単に「ストレスを感じているかどうか」だけでは説明できませんでした。
つまり、人はただ気持ちの問題で不調になるのではなく、日々の生活の中で、何にどれだけ時間やエネルギーを使っているか、その「配分」そのものが大きく関係していると考えられます。
不調はある日突然起こるものではなく、生活の中のバランスの崩れとして、少しずつ表れてくるのかもしれません。
仕事・遊び・休息……あなたの生活は、バランスが取れていますか。
