コラボレーション研究家の吉田裕美子です。
主体的なチーム活動を推進していくためには、上位層は戦略的な情報を開示し、フロントラインチームに適切に共有して、実践の中に組み込んでもらう必要があります。
だからこそ、企業では、情報共有のための会議体を様々作って、日々情報共有しているのでしょう。
マネジャーの仕事のほとんどが、会議、会議、会議の連続になっているのも、この情報共有と、それに基づく意思決定がなされる必要があるからとも言えます。
ところが、どんなに会議を重ねても、伝わっていかない情報が大量にあり、現場側からは上位層が考えていることがさっぱりわからない・・・という声がよく聞かれるのも事実です。
でも、上位層のマネジャーは、こんなことをよくおっしゃっています。
この間もこの話は会議で伝えた
私は、十分、情報開示している
この問題を解決するために、何が必要なのでしょう?
■ 戦略と実践の間には情報の設計が必要
会議では、よくプレゼン資料の様なものが共有され、内容を解説する形が取られます。戦略や戦術、計画が共有されて、どの様に実践されていくべきかを議論するために、元となる情報は重要です。
ここで注目していただきたいのは、各自が独自のやり方で資料を作成し、口頭で補足の解説を行い、ファイルとして配布された資料はどこかのフォルダに保存される形が、最も多く見られる情報の共有や保存の形態であることです。
前回のブログで、指示(インストラクション)について触れました。
コミュニケーションの中には、非常に多くの指示が含まれているのですが、それを会話の中で明確に伝えることは、それなりの技量が必要です。同時に、会議で決まったことを、その会議に出ていなかった人が理解できる様に伝える必要があり、そこに様々な「人」が介入することを想定すると、その戦略や戦術、計画を作った人が伝えたかったことが、ちゃんと伝わるのは奇跡といえるかもしれません。(笑) 下手をすると、あなたが一生懸命プレゼンした内容は、1通のメールにその資料が添付され、「前回の〇〇会議で話し合われた内容を共有します」とシンプルな一行で共有されている可能性も大きいのです。
そして、ファイルは、個々人によって、それぞれのルール(あるいは、気の向くままに)サーバーやローカルに保存されます。(ああ・・・永遠にそのファイルは見つけ出されることはないでしょう 泣) 戦略や計画を実践してもらうということは、適切なアクションを引き起こさないとなりません。ところが、計画を作って口頭で説明し、資料をファイルで共有すると、それが適切に理解されて、実践されるという妄想を、私たちはつい描いてしまいがちなのです。 ここで抜けているのは、抽象度の高い戦略から、様々な状況を踏まえた上での具体的な行動に至るための「理解の連鎖」を設計することです。 この理解の連鎖を工夫している職種がいくつかあります。例えば、建設業の設計者は、施主の意向を形にするために、設計図を作成します。工事現場で作業をする人は、設計者と直接話をした訳でないのに、設計図を重要な情報として活用しながら、意図にあった施工を行います。 ITのアプリケーション開発の世界ではUXデザインという考え方があります。UXデザインでは、以下の5階層の段階をきちんとつなげていくことが重要だと言われています。
もし、前述の会議の中で、戦略立案→会議→実践というステップを、踏むことを想定しているとしたら、このこの5階層当てはめると戦略、要件(の一部?)から、いきなり「会議」という名の「表層」へジャンプしているともいえます。 理解をデザインし、適切なインストラクションを提示するならば、構造にあたる、情報アーキテクチャの設計が欠かせません。
ファシリテーションや思考力、コミュニケーション能力などの能力開発は、非常に重要なポイントですが、その情報を活用する人が複数名いることを想定したら、「コミュニケーションが交わされる場」だけでなく、その場で活用されるべき情報が伝わっていく構造の設計を欠いてはならないのです。
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事務局より:
好評をもちましてWebセミナーは終了しました。
ありがとうございました。