top of page

3ヶ月で「本物のチーム」に変わる? ──リーダー頼みのチームから変化するための転換点

エンタープライズアーキテクトの吉田です。


弊社から何度かお知らせを出しているので、人事専門誌『企業と人材』の7月号〜9月号に弊社のチームマネジメント変革プログラム、ハイパー・チームマネジメントで成果を出してくださっているお客様のインタビューが掲載されていることはお伝えできているかと思います。


参考:

人事専門誌『企業と人材』2025年7月〜9月号でハイパー・チームマネジメントが連載記事として掲載されます!


『企業と人材』 HTM連載特別企画ページ



このように記事として取り上げてくださった『企業と人材』編集部の皆様や、私たちを仲間のように受け入れ、変革を推進してくださっているお客様には、感謝の念に堪えません


Hyper-collaborationは、創業して5年目となりますが、私たちのサービスは、弊社の経営そのものを1つずつサービス化しており、自社内で実践していない内容は一つもありません。代表である私は、このように働きたいと自分自身が願っていたことを実現するために、どのような経営を行えば良いのか考え、また学び続け、さまざまな手法や考え方を取り入れてきました。それが社会の中で受け入れられていることは、本当にありがたいことだと感じています。


さて、しばらくブログを書く時間も取れませんでしたが、こうして雑誌の連載記事としても取り上げていただいたので、これから何回か連載で、デジタル時代の経営について、私なりの視点、実践方法をご紹介していきたいと思います。


その第1回目は、もちろん、記事に取り上げていただいた、チームマネジメントに関することです。なかなか伝えきれていないこともあり、ここでブログ記事というメディアを通じて、少し振り返りながら、考えをまとめていたいと思います。やや雑多な感じになるかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。



「優秀なリーダーさえいれば大丈夫」という思い込み


Hyper-collaborationを立ち上げる前から、お客様からよく聞く言葉がありました。それは、「いい人がなかなか見つからない」という人材不足に関する言葉です。

ここで言う「いい人」とは、多くの場合優秀な若手を指しており、次期リーダーにできるような人を求めている声でした。


私がこの言葉を何回も聞く中で頭に浮かんだのは、これほどまでに多くの企業で「いい人がいない」と言う声を聞くと言うことは、そもそも、お客様企業が求めている「いい人」は、いないのではないか?と言う推論でした。


少し、皮肉のように聞こえるかもしれませんが、どこか、能力が十分にある人さえいればうまくいくと言う前提を持たれているようにも聞こえ、その前提そのものに誤りがあるような気がしてならなかったのです。


同時に発見したことは、本当に多くの組織で、優秀なリーダーが部門に少数だけいて、その方々がなんでもこなしている、違う言い方をすれば、仕事を抱え込んでおり、権限委譲が進まないと言う課題があることでした。これも何度も遭遇するうちに、そもそもこんなに何でもやってしまっていては、仕事がブラックボックス化してしまって、一気に権限委譲は無理だろうな・・・と言う感覚でした。



野中氏、竹内氏が示した「ラグビー型」のマネジメントとの出会い


1986年、野中郁次郎氏と竹内弘高氏は論文 The New New Product Development Game を発表しました。これは今日のアジャイルやスクラムの思想的源流といわれています。


彼らは、従来の「リレー型」の製品開発が柔軟性を欠くことを指摘し、代わりに「ラグビーのスクラム」のように全員で一体となって前進するアプローチを提示しました。


この中で紹介された6つの原則は、今もなお組織変革に通じる洞察です:


  1. Built-in instability - 内在する不安定性を受け入れる

  2. Self-organizing project teams - 自己組織化を促す

  3. Overlapping development phases - 開発フェーズを重複させる

  4. Multilearning - 多様な学習を取り入れる

  5. Subtle control - 巧妙な・さりげないコントロール

  6. Organizational transfer of learning - 知識移転を全体で行う


弊社は、4名でスタートした小さな組織です。その立ち上げより少し前にこの6つの原則を目にした私は、稲妻が走るような感覚に陥ったのを今でも覚えています。組織だって働くとは、こう言うことだ!!と心の底から思ったのです。


また、私たちの組織には、コンサルタントとしてこれまでのキャリアを積み上げてきた人は、最近入社してくれた小山さんをのぞいて存在していません。

この小さな、専門家が存在しない組織で成果を生み出すために必要なマネジメントは、この6つの原則にあると信じ、スクラムの基本を社内で応用しつつ、自社の組織アーキテクチャの設計や、リーダーシップ開発、そしてサービスモデリングに取り組みました。


2020年創業ですから、ご存知の通り、コロナ禍真っ只中。2021年には、仕事がゼロになるというタイミングすらありました。それでも、私たちは、この6つの原則を回しながら、サービス開発に集中し、『企業と人材』と言う専門誌に掲載していただけるところまで、漕ぎ着けることができたのです。だからこそ、私たちは、「スクラムを組むように」チームとなることの重要性を心から実感しているのです。


Hyper-collaboration社内で、6つの原則は、次のようにして実践しています:


  1. Built-in instability - 内在する不安定性を受け入れる:常にチームで最小限の計画を立てる。この計画立案には、弊社の標準フレームワークとなっているODSC、アンビシャスターゲットツリー(ATT)を活用する。また、それらをプロジェクト単位に作成するプロジェクトワンページャーの中に記述しておくことで、内容に関して振り返ったり、フィードバックを得られるようにする。これをベースにスクラムの基本プラクティスを1週間単位で回す

  2. Self-organizing project teams - 自己組織化を促す:"強みと好み" をベースに複数名で職務を担当し、意思決定を2名以上で行う。また組織のタレントアーキテクチャを公開し、全員で人材戦略とバリューチェーンのつながりを周期的に考察する

  3. Overlapping development phases - 開発フェーズを重複させる:サービス開発も業務プロセスも、モデル化、フレームワーク化し、複数名でトライしながらモデルやフレームワークを磨き続ける

  4. Multilearning - 多様な学習を取り入れる:体験学習、講座の受講、社内講師、仕事以外の体験を混ぜながら、学習し、また、内省する力をつける。特に、感情体験にフォーカスし、自己の内面との対話力を上げる

  5. Subtle control - 巧妙な・さりげないコントロール:アカウンタブルな人をプロジェクトや施策単位に必ず決め、オープンに議論/対話しつつも、拡散しすぎない状態を作る

  6. Organizational transfer of learning - 知識移転を全体で行う:毎週末、感情体験を含めて振り返り、暗黙知を言葉にしていく努力を続ける(振り返りのフレームワークは、Miroverseで公開しています:EQリフレクションシート


※ ODSC、アンビシャスターゲットツリー、タレントアーキテクチャなど、聞いたことのない用語が含まれているかもしれませんが、これらは、また次回以降のブログ記事で説明させてください。これらを活用することの意味も含めてご紹介したいと思っています。



組織に必要なのは、1人の優秀なリーダーではなく、共にチャレンジする多様な仲間


私たちは、こうした経営を通じて、今、組織活動に必要なのは、1名の優秀なリーダーではなく、共にチャレンジする多様な仲間であることを実感しています。


だからこそ、こうした体制をなるべく短期間で作り上げるられるサービスを開発しました。手前味噌になってしまいますが、完成したチームマネジメント変革プログラム、ハイパー・チームマネジメントには、組織開発、体験学習、そして脳科学の知見を活用し、短期間での成果を実現する工夫が随所に散りばめられています。


ハイパー・チームマネジメントは、3ヶ月でチームマネジメントを変革するプログラムで、以下のようなプロセスで構成されています。


ree

このプロセスの中で、1人のリーダーに頼らない、本物のチームに変わる転換点は、大きく言うと3点あります。


1つは、目指す姿を対話することです。言葉や言語は物事を伝え合う、コミュニケーションにはなくてはならない、また非常にポータブルで効率的なツールではありますが、内容の解釈には一定量の工夫が必要です。特に、書いた文章というのは、文脈が抜け落ち、読み手の自由な解釈の幅が広がる傾向があり、職務やプロジェクトの目的やゴールを伝えたつもりでも伝わらないということが往々にして発生します。


2つ目は、チームの計画力向上と計画したものの見える化です。計画力とは、ゴールから逆算して考えられるということとイコールになります。長期でも、短期でもです。まずは1週間のゴールをチームでイメージし、言語化する。そのために必要なタスクを洗い出し、タスクボードなどのツールで見える化してみる。果たして、タスク単位のゴール(完了の定義)は明確に言語化されているでしょうか?つまり、小さな1つのタスクであっても、何ができたら完了なのかが明瞭に言語化できなければ、計画はできません。


3つ目は、振り返りの時間を業務に組み込むことです。忙しい現代社会においては、「振り返り」というのは職務を停止しなければならない余分な時間だという声も耳にします。しかし、前述の「The new new...」の6つの原則の1番目、「内在する不安定性」に目をつむっていては、良い仕事はできないのです。たとえば、1週間に45分立ち止まって振り返る。この時間が、実務をこなすことより価値が高いことを認められなければ、チームは単に作業マシーンとなんら変わりないことになり、AIに勝る仕事は早々にできなくなってしまうでしょう。


この3つは、企業内のチームが本物のチームとなるために最低限必要なことであり、また、この3つが対話的に進められるようになれば、ただ一人のリーダーだけが頑張るというようなことはなくなっていくのです。



変革をお客様自身の手で


更に、これらをお客様自身が自分たちの手で展開できるよう、私たちは、HTM認定ファシリテータ養成プログラムもリリースしました。


もちろん、外部のコンサルタントや教育プログラムを提供する専門企業に支援を依頼する部分は依然として必要だと思いますが、私たちは、何もかもを外注するのではなく、成果を生み出す中核となるチームマネジメントを、自分たちの手で変革できるようにしていただきたいと考えています。


なぜかと言えば、この変革プロセスを自社内で回すことで、企業内にある課題の解像度がぐんと上がるからです。


もともと「スクラムを組むように」仕事していた日本企業も、いつの間にか「バトンをわたすように」個人作用に陥ってきています。これにより、状況は見えにくくなり、自社内の課題の解像度がどの企業も非常に低いと感じられてなりません。


私たちは、結果を出せる体系的なプログラム(HTMと、それを実現するファシリテータを組織内に備えることで、野中郁次郎先生、竹内弘高先生が、"日本のマネジメント" として世界に伝えた「ラグビーのスクラムを組むように」心豊かに協働し、成果を生み出す組織を日本中に広げていきたいです。



2025/10/16に、上述のHTM認定ファシリテータ養成プログラム内で学習する、ラボラトリーメソッドについてお伝えするウェビナーを予定しています。


是非メールマガジンにご登録ください!ウェビナーの参加募集開始や記事の更新時にメールが届きます。



​カテゴリー

アーカイブ

#タグ

bottom of page