コラボレーション研究家の吉田裕美子です。
自律的に活動する社員が増えていく、自己組織化が進む・・・。
早急な企業変革が望まれる中で、新しいリーダーシップの開発が求められています。
EQリーダーシップに関する連載ブログ。
今日は、その3回目です。
今日まで2回、リーダーに必要とされるEQの力について解説してきました。
この解説の中で用いているのは、シックスセカンズ社のEQモデルです。
感情リテラシーと自己パターンの認識は、「知る(Know Yourself)」と言う領域に分類されているコンピテンシーでした。
今日からご紹介するのは、「選ぶ(Choose Yourself)」に分類されているコンピテンシーになります。
つまり、自分の感情を含む、様々な情報を踏まえて、選択肢を広げ、より適切な行動を選択するために必要な能力となります。
EQは、日本語では感情知能と呼ばれています。「感情」と名前についているが故に、心の扱い方の様に取られることが多いのですが、EQとはそもそも、
最善の結果に結びつくように、思考と感情を調和させる能力
と定義されており、思考と感情、両方をマネジメントする力を育んでいくことが必要になります。
全てのコンピテンシーにおいて、思考と感情の両方をマネジメントする力が必要になりますが、今日ご紹介する「結果を見すえた思考」は、その点が特に分かりやすいかもしれません。
■ 注意深く考えなければならない時
私たちは、常に意識的でいることはできず、無意識に意思決定、行動の選択をしている時間があります。
その前提はあるものの、自分の選択が、どの様な影響を及ぼすのか考える必要があるケースがしばしばあるのも事実です。
「この人とは仕事がやりやすいな」
と感じられる時、きっとその人は、自分の行動や選択がチームメンバーや、さらにその先の関係者にどの様な影響があるか、考えて行動しているはずです。
また、短期的な視点だけでなく、中・長期的に考えて行動することで、今、やるべきことがより適切に選択されることも多いでしょう。
以前、知人がこんなことを言っていました。
ロック・クライマーは、慎重で、臆病なくらいな方がいい。へたをしたら、大きな怪我や命の危険すらあるのだから、大胆で無謀な人には向かない。
この話をしていた人自身がロック・クライマーだったのですが、これを聞いてなるほど!と思いました。当時、私は、あんな怖いことをするのだから、若干無謀なぐらいの怖いもの知らずな人こそ、ロック・クライマーなのだろう・・と思っていたのです。
しかし、危険があるからこそ、怖さを感じないのではなく、怖いという感情の情報を活かして注意深く思考し、行動を選択する必要があるのです。
■ 「その結果、どうなるの?」
また、強い感情が湧いてきた時も、「結果をみすえた思考」が必要になります。
感情のエネルギーはとても強いので、私たちは、そのエネルギーに押し流されそうになる時があります。
例えば、怒りのエネルギーは、人を奮い立たせることに役立ちますが、感情のメッセージを理解することなく、反射的に行動すると、望まない結果になってしまうことがあるでしょう。
私自身にも、もちろん覚えがあります。
最近は、ずいぶん少なくなりましたが、私の「地雷」的なスイッチがあり、そのスイッチが押される様な状況になると、相手がお客様であろうと、立場が上の人であろうと、つい、怒って厳しい言葉を発することが以前はよくありました。
立場に怯えることなく、フィードバックする勇気をくれる「怒り」の感情ですが、時として、言葉の選択や、言うべきタイミングが適切でないことがありました。
お気づきでしょうか。
怒りの感情は、扱いが難しく、感じられない方が良いかの様に思われることがありますが、場合によっては怖気付いてしまう様な時でも、一歩前に出る、強いエネルギーをくれるのが、怒りの感情の役割でもあります。
だからこそ、怒りの感情をぶつけたくなったら、
「その結果、どうなるの?」
「本当はどうなっていたいの?」
この2つの問いを、自分に問いかけ、エネルギーを活用しながらも、思考と感情をマネジメントしていくトレーニングが必要になるのです。
これは、感情に蓋をすることとは全く違うことであり、私たちが「内なる心の呼びかけ」をきちんと受け取り、思考力を活かして行動選択する能力を開発することにつながっていきます。
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