リレーブログ#04 テレワークでの情報共有:フロー型の情報とストック型の情報

更新日:9月29日

テレワークに移行したチームから、情報共有に関してのお困り事としてよく耳にするのが、情報共有のタイミングや、それに合ったツールという内容です。確かに、相手の状態が視覚的に確認できない時、「今」何をしているかな?集中力を妨げたりしないかな?と不安に思うという心境はよく話わかります。


情報共有というネーミングをしつつ、コミュニケーションのタイミングを推し量っているケースというのは、オフラインで考えれば、「今、話しかけていいかな?」と様子を伺っている状態と言えるでしょう。


これをテレワーク環境で具体的に想定すると、様々なチャットツールで話しかけていいのか?という迷いかもしれませんし、ケースによっては電話や様々なオンライン通話ということもあるかもしれません。


また、同じ状況で、逆の立場からの悩みとしてのお話もよく聞きます。あるリーダーからは、メンバーからあまりに多くのチャットが入って、それを処理するだけで相当な時間が取られるという嘆きを聞いたことがあります。「わからなかったら聞いてね」という優しい一言が不幸を招いしまったこともあるのかもしれません。逆に、「わからなかったら聞いてね」と言ったにもかかわらず、全然チャットも流れこない。どういう状態なのか不安だ。という悩みを打ち明けてくれたリーダーもいました。


チャットツールは、相手がそばにいなくても、リアルタイムにテキストでのお喋りができる、とても便利なツールです。他方で集中力を削ぐという要素もあります。チャットに流れてくる情報が多い/少ないで悩まれている場合は、1つの観点として、共有する情報はフロー型情報として扱うべきものなのか、ストック型情報として扱うべきものなのかをまずは分類してみることも、悩みを減らす、1つの方法かもしれません。



フロー型情報とストック型情報の違い


チームの活動は、様々なデータから情報を得て、意思決定がなされることで推進されていきます。まだ、まとまりとしては意味をなしていないデータから、人の活動に寄与する情報を分類・整理して活用しやすい状態にデザインしていく専門の技術があり、それを情報設計(Information Architecture: IA)と呼びます。


弊社とGraatさんとは、この情報設計の領域で連携しながら、チームの活動を支えるテクノロジーについて探求しています。私たちの会話の中でも、フロー型情報とストック型情報の扱いについて、よく話題に上がります。


人はアイデアを思いついたり、相手の状況を確認したいと思った時、その瞬間に「伝えたい」「伝えてほしい」という欲求が芽生えます。この様な時、チャットのみならず音声でやり取りされる(音声通話やオンライン会議を含む)情報交換が行われることが多いですが、この様な情報は、フロー型情報に分類されます。


フロー型情報は、タイムリーにやり取りする必要がある情報です。もう少し補足すると、そのタイミングで複数名の間で情報のやり取りがあることが重要で、後々参照するということは、あまり考慮しなくて良い、あるいは、さほど重要ではない情報と言えます。


「タイムリー」とか「後々」という時間に関する言葉をここで使いましたが、情報共有の方法やツールを選ぶ際に考慮しなければならないのは、情報の更新頻度/閲覧頻度です。


例えば、リーダーに向けた質問がある場合、その回答となる情報は、フロー型情報として扱われるべきでしょうか?それともストック型情報として扱われるべきでしょうか?


答えば、どちらともあり得るということになります。


ガッカリさせる答えでごめんなさい。


例えば、メンバーが知りたいことが、社内ルールやチームの基準、現在行っているプロジェクトの定義のような分類に当てはまる場合、いちいちリーダーが答える必要はないでしょう。更新頻度が比較的低いこれらの情報は、どこかにストック型情報として保存されてあるべきで、その閲覧が容易になるように情報が設計されていることが大切になります。


他方で、今設計しているプロダクトのアイデアについてメンバーに聞いてみたいことがある・・と言ったケースであれば、これはフロー型情報としてなるべくタイムリーにやり取りができる環境が必要になるでしょう。



情報更新頻度のカテゴリを考えるためのフレーム


このリレーブログの発端となったのも、実は情報の更新頻度による分類による気づきをGraatさんと共有したことからでした。


リレーブログ#00 情報と戦略:私たちのチームが動きにくかったワケ

リレーブログ#01 情報と戦略:私たちのチームが動きにくかったワケ - Graatサイド


私たちはここで、ステュワート・ブランド氏が開発したペースレイヤリングという考え方を活用しています。ペースレイヤリングは、「あらゆるシステムは、異なるペースで動く階層(レイヤー)によって構成されている」という仮説基づいています。


参考:『未来シナリオ構築に不可欠な思考法「ペースレイヤリング」


ペースレイヤリングに当てはめて考えると、どの種類の情報がどのような頻度で更新され、それらがチームあるいは組織の活動の中でどう活用されていくのかを、チーム内で共通概念を持ちながら分類する手助けになります。


先ほどの、「質問がある」も、その回答情報の変化のスピードをチームで合意したペースのカテゴリに当てはめてみれば、フローなのかストックなのかが、一定の基準に基づいて分類可能となるでしょう。



問題を安易に能力や関係性 "だけ" で解決しようとしない


私たちは、自分の内外にある様々なデータを情報化し、意思決定/行動選択をするために利用します。かつて、特定の階級のみが手にすることが可能だった "情報" がインターネットや様々な技術によって、誰にでも手に入りやすくなりました。


昔は希少価値の高かった情報も、今は取捨選択しないと雑音に惑わされたり、情報のオーバーフローで逆に判断できなくなるようなことが起きているのが現代社会で、情報をいかに扱うのかということに関しての知識が必要になってきました。


テレワークという環境を活用する時、ヒエラルキー組織ではあるものの、個々のメンバーの主体的な行動選択がより必要になることを実感された方も多いのではないでしょうか?チームメンバーの主体的な活動、フラットな組織運営という言葉は非常に耳障りが良いですが、それが効果的に行われるためには、上位層や職務単位で保持していた情報を「指示命令」という形での絞り込みを行って伝達することができなくなること、同時に、活動に必要な情報が開示されている必要があることが考慮されていないチームにしばしば遭遇します。


また、情報の伝達経路がネットワーク状になり、今までのように上から下へ流れいく一方通行ではなくなること、同時に、それを可能とする環境が必要になることも考えなければならないことです。


フロー型情報とストック型情報を、自分たちのチームはどのように分類するのか。その情報へのアクセス、あるいは更新/管理のコストをできるだけ下げるには、どの様に構造化していくべきなのか。


私も最近学び始めたところではありますが、情報設計の考え方は、かつて私自身も行っていたシステム設計やデータベース設計の考え方のベースに常にあるものだと認知しています。そして、誰もが情報を生み出したり、探し出したりしながら、主体的に人と連携して活動する時代になった今、誰もが情報設計の基礎的なことは理解しておく必要のある分野だと感じています。特にマネジメントの基礎知識として、情報設計の知識があるかどうかは、今後、組織のパフォーマンスに大きく影響を与えていくでしょう。


テレワークかどうかに関わらず・・ですが、意思決定やパフォーマンスに関わる課題感がある場合、個人の能力開発や、人と人との関係性という方向に問題の焦点を置きがちな傾向があります。これらはどう情報を共有するかという意味で、重要な点ではありますが、能力や関係性 "だけ" では、解決できない、私たちが扱っている情報の構造、デザインが現状どうなっているのかということも、ぜひ視野に入れてみてください。



次回は、Graatの浅木さんにバトン