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執筆者の写真吉田 裕美子

リレーブログ#08 情報化社会の人財開発

更新日:2022年7月13日

(このブログは、Graat社とのリレーブログ『チームとテクノロジーの幸福な関係』の記事として投稿しています。)

コラボレーション研究家の吉田裕美子です。

少々仕事が立て込んでいるタイミングとワクチン接種、夏休み・・などが順次やってきて、ブログの更新が遅れてしまいました。すいません。


さて、今に始まったことではありませんが、以下のような声をしばしば耳にします。


  • ベテランに仕事が集中する

  • なかなか、チームメンバーが仕事を任せられるレベルにならない

  • いつも困り事を聞いているのに教えてくれず、実際にメンバーから報告があるときはすでに手遅れになっている


悩ましいですね。


私も、決してスーパーウーマンではありませんから、チームの仲間にガッツリ助けてもらいたいといつも思っています。


ガッツリ助けてもらうには、仕事を「任せられる」ことが必要です。では、どのようにしたら、「早く」そうなってくれるのでしょう?


ちなみに、弊社のメンバーは、「コンサルタント」とか、組織開発、人財開発の仕事、はたまた、デジタル系の職種だった人は一人もいません。


全く畑の違うの人たちばかりで構成されている会社ですが、全メンバーが共に、(私がずっと実現したいと考えている)「望ましい未来構築に誰もが主体的に参画できる社会に転換する」というミッションのもと、デジタルの力を活用してコラボレーションをもっと高いレベルで行えるようにすることをお手伝いしています。


そのために、私も皆さんと同じように、新しい分野でどんどん社員が活躍してくれるよう、能力開発に時間もお金も割きたい!!と思い、いろいろな学びの場への投資も行ってきました。


一方で「任せる」ということが実現するには、個別の専門知識とは異なる領域の力であることを感じつつ、ある種の悩みを抱えていました。


おそらく、皆さんが「任せられるようになる」と仰っている状況も似た側面があるのではないかと思っています。


人の育成とデジタル社会、情報化社会

「任せる」にはあと一歩・・・と感じられるケースでは、具体的に、どういう状況になっているのでしょうか?


おそらく、

  • 仕事を依頼すれば、ちゃんと行ってくれる。

  • 技術的な知見はそこそこある・・・いえ、なんなら、自分よりあったりすることもある。


ということは満たしつつも、


  • いつもと違う状況での判断や意思決定

  • 指示されたこと以外を考慮して活動する


という様なことがまだ無理なので、完全に任せることができずに、いつまでも指示が必要になったり、あるいは、周期的に状況を見ていないと、やって欲しいことに手をかけていない・・などの状況が起きたりする状態にあるのではないでしょうか?


私自身も、そういったことを感じていた時がありました。

そして観察の結果、気づいたのは、「少し先のことを想定した上での問いが浮かぶ」ことが難しいのだということでした。


例えば、意思決定がスムーズに行われず、作業が止まってしまっているようなケースは、現状と、少し先に期待されているだろう結果(少し先に生み出したい結果とも言えます)の2点を把握して、どのようなステップを踏んで次のステージに事を進めるべきかという問いが浮かばないのかもしれません。


自発的に、指示されたこと以外の事柄を考慮して行動を起こしてほしい時も、未来におけるある地点の状態が頭に浮かび、では、今(指示されたこと意外で)すべきことは何か・・と発想がおきないことが多いのではないでしょうか?


その様に問いが浮かぶ様になるためには、思考方法のトレーニングをするというのが1つの方法としてあり得ます。


弊社もその点は非常に力を入れていて、クリティカルシンキング、ロジカルシンキングのトレーニングを繰り返しています。


しかし、これだけでは、不十分であることを、私は自社内で発見しました。


デジタル化が進み、情報の流通スピードが上がった現代の仕事は、点在するデータを統合し、情報化する事で意味を見出すことを誰もが行える様にすることが人財開発の重要な観点だといえます。


この点に関して、思考トレーニングの様なもので「能力開発」の支援をするが有効なのは事実です。


しかし、見落とされがちな、もう1つ重要な点があるのです。


それは、(私の場合がそうだったのですが)経営者やマネジメント層が、「少し先のこと」を開示しているか、それも、誰にでも理解できる形式で・・と言うことです。


つまり、この会社の中長期的な戦略は何で、それが、今、社員が行っている仕事とどの様に紐づいているのかが、誰にでも明瞭でなければ、「少し先のことを想定した上での問い」など浮かぶはずがないのです。人の能力がどんなに開発されたとしても、必要な情報がその人にインプットされていないのですから。


結果的にたどり着いたデジタル社会における人の育成に欠かせない要素は、経営者である私自身も含めたフレームワークを活用した社内情報の設計ということでした。



フレームワークとは体系化された問い


データを統合し情報化することは、今の時代、避けて通ることはできません。


この負荷を下げてくれるのがフレームワークです。


PDCAやSWOT分析の様に、汎用的なものもありますが、特定の仕事に関しての情報を体系化し、個人あるいはチームでの意思決定を促すフレームワークを自前で準備することもできるでしょう。


プロジェクト型の業務が乱立する弊社の業務における能力開発に大きな影響があったのは、プロジェクトの戦略/戦術部分を誰もが共通のフォーマットで思考できる、シンプルなプロジェクト・チャーターのフレームワークを活用することでした。


プロジェクト開始時に、自分たちがなぜこの活動を行うのか、求められている成果は何か、すでに知っていることとまだ知り得ていないことは何か・・・など、問いが体系化されている共通のフレームワークを私も含めた全員が活用することで、「考えるべきこと」「情報化すべきこと」が明確になり、チームが自律的に行動を起こせる様になりました。


また、自前でフレームワークを準備する際に、「本当に既存のフレームワークは存在しないか」確認することも大切です。世の中には多くのプラクティスが存在し、すでに検証された良いフレームワークがあるものです。ゼロからそれを生み出すより、ベースとして既存のフレームワークを活用し、自社に合わせてカスタマイズする様なやり方が、世界中で検証されたベストプラクティスを取り入れる方法として有効に機能するでしょう。


フレームワークの活用に加えて、メンバーの自律性を求める際に非常に重要なことは、チーム内でビジョンやパーパスを繰り返し、繰り返し対話する、言語化することだと強く実感しています。それが、チームの中での意思決定、意味を見出すプロセスにおいて、非常に重要な情報になるからです。


是非、現状を知るために、社内の情報のやり取りを確認してみてください。

そこには、チームや個人ごと、自己流にまとめられたExcelのファイルが大量にあったりしないでしょうか?

そして、マネジャー自身も、その様なファイルやメールで一方的な情報発信をしたりしていないでしょうか?

これらは、確かに情報やデータをチームと共有することにつながりますが、それらを使いながら、メンバーが「問い」を思い浮かべられる様になる、思考の支援になることは難しいものです。


私自身も、graatのメンバーの方に Confluence について教えていただいたことで、自分の身の回りから情報整理と設計を始めました。

「チームメンバーを育成する」と言う言葉の印象に囚われてしまうと、自分自身の与えている影響に気づかないものだなぁ・・と、その時実感したことを最後に打ち明けておきます。


今日は、「情報化社会の人財開発」について探求してみました。

情報化のプロセス、特に戦略的な情報に関してフレームワークを活用することでチームメンバーの意思決定とそのプロセスの見える化が進み、同時に人財開発がグッと進んでいきます。ぜひチャレンジしてみてください。



 

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