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タレントモビリティを高める時代-2 タレントモビリティ(人材の流動性)に備える① 情報の設計と記録の手法

更新日:2023年1月6日

トランジション・デザイナーの吉田です。


新しい年がスタートして、少しずつ、気持ちもお正月休みからビジネスモードに切り替わってきている頃かもしれませんね。


今回のブログ記事シリーズ「タレントモビリティを高める時代」、第1回目の投稿もたくさんの方が読んでくださいました。ありがとうございます。


今回は、その2回目。

今日は、タレントモビリティ(人材の流動性)を実現していくためにどのような備えが必要か・・ということを考えてみたいと思います。


ちなみに、社内で人材を公募する仕組みづくりに関しては、弊社は専門外ですので、触れません。悪しからず・・・


それ以外に、必要な備えとして、次の3点があると私は考えています。


  1. 過去の知見を利活用できる情報の設計と記録の手法

  2. 社員の自律的なキャリア構築とその場で求められている役割を獲得する力

  3. アジャイルなチーム運営


今日は、この3点のうちの1を確認していきます。



「誰に聞けば良いか分からなくなる」問題の発生


新しい部門に異動した経験のある人は、どのように新しい職務を学んで行ったでしょうか?多くの場合、「知っている人から教えてもらう」という方法だったのではないでしょうか?


日本の企業には、丁寧な「引き継ぎ」という文化があります。仕事の継続性を担保し、過去の知見を活かしていく上で大切なプロセスとも言えます。


一方で、その部門を去る側に立ったことのある方の中には、いかにこの引き継ぎが大変な作業であるか、ご存じな方も多いでしょう。丁寧な方は、きっちりマニュアルを作成して行ったりもしますが、その負荷は相当なものです。


逆に「去る」人は誰もいなくて、組織編成が若干変わったとか、単純に人が増えたというケースでは、新たに加わった人の情報源は、特定の人に聞いて、教わることのみという状況になることがあります。


その職務は、何を達成することが目的で、今現在はどのような状況で、そもそもその職務はどういった体系になっているのか、理解する術が「聞く」、「教わる」という方法以外ないということです。


そして、多くの場合、そういった「よく知っている人」は多忙で、教える時間が作れません。


嗚呼・・・・涙。


また、組織変更があった場合は、特定の職務に関する情報が断片化してしまった上に、知見のある人たちもあちこちに散ってしまって、誰に聞けば良いかも分からない・・・というケースも見聞きしたことがあります。


人材の流動性が高まるということは、このようなケースが頻発する可能性がありますし、新しいメンバーが加わる度に、引き継ぎ書的なものを用意することは、負荷が高くてできないことも十分あり得るでしょう。


そもそも、この問題の背景にあるのは、職務に関連する情報が人に付随してしまっていて、共有化されていないことです。



人に情報が付随してしまうのはなぜか


日本企業は、仕事の進め方がものすごく欧米と異なっています。これは、どちらが良い、悪いと一元的に言えることではないのですが、人の流動性ということに関して振り返ってみると、私がこれまで所属してきたアメリカの企業では、とても重きを置いて情報の扱いが考えられていました。


そもそも、アメリカは採用の方針からして日本とは異なり、最近あちこちで聞かれるようになったジョブ型雇用が基本ですし、人材の流動性は、そもそも高い。

私が参画していたプロジェクトでは、その開始時に、どのような構造で記録を残すのか、命名規則をどのように定義するのかを議論してからスタートしていましたし、記録先のシステムが用意されていました。


Society4.0という呼び名もある、情報社会がスタートした頃、人材の流動性が高い多くのアメリカの企業は、情報の扱いや構造について仕組み化してきた背景があるのに対して、多くの日本企業は、アナログ式の仕事のOA化という方向でシステム構築が進んだという傾向があるかと思います。


ですので、企業全体として情報構造を戦略的に構築している組織は、非常に少ない現実があります。基幹システムは活用されていても、詳細を見ていけば、職務そのものの体系化はあまり進んでいないケースもあるようにも見受けられます。


こういった状況がなぜ日本の職場においては残り続けて来たのかと言えば、おそらく、日本人の几帳面さや平均的な学力の高さなどが背景にはあるのだと思いますが、時代の流れから見ると、この日本人の強みが裏目に出てしまっていると言えるのかもしれません。


能力ある個人が職務を切り盛りすると同時に、その人個人の方針でさまざまなデータ、ファイルが保存され、再利用が難しい状態になっていく傾向は、日本的情報社会の発展の中で生み出されてきてしまった構造です。



では、どうすれば良いのか?


デジタル社会が発展していく中で、タレントモビリティ実現の課題となるデータや情報の取り扱いをどのようにしていけば良いのでしょうか?


手がかりは、「人はどのように物事を理解するのか」ということにあります。


私たちは、ビジネスにおいて一般的に、言語によって物事を伝え合い、理解し合うことをしています。


ところが、この言語による伝達は、すべてのことをすべての人に、齟齬なく伝えることができるわけではありません。極シンプルな例を確認してみましょう。、「昨日は遅くまで仕事をした」と言った時の「遅い」という意味は、働いた時間の「長さ」を表しているのに対し、「Aさんは走るのが遅い」と言った時の「遅い」は「スピード」を意味しています。この様に、私たちは同じ言葉を使いながら、異なる意味を伝え合っているのです。


それが故に、コミュニケーションの問題が発生したり、異なるコミュニティで意味を理解しにくい状況が起きることがあります。


どのような物事にどのような言葉を当てはめて表現するのか、言葉によって表現される意味や概念の定義は、情報伝達の上で、最も基本となる考え方です。これを専門用語でオントロジーと呼びます。


タレントモビリティに備えるには、私たちが何気なく使っている言葉で表現している意味が、より多くの人に齟齬なく伝え合えるのか、言葉の選択を確認することがまずその一歩と言えます。


そして特定の意味を表現する言葉が定義できたら、次に情報の構造化が必要になります。無秩序に書かれた文章は読み解きにくいですし、フォルダの構造が人によってまちまちで、どこに何が保存されているのか探せない・・という経験をしたことのある人は多いのではないでしょうか?


情報の構造を決めるには、どの様にデータを分類するのか、その分類法を決めることから開始する必要があります。机の引き出しの整理が上手な人、ファイリングが上手な人は、この分類の仕方が上手であることが多いものです。


物事を分類・整理し、構造化する手法をタクソノミー(分類法)と呼びます。


タクソノミーは、少し耳慣れない言葉かもしれませんが、書籍の目次や、生物の分類、Webサイトのナビゲーションなどもタクソノミーです。私たちは、さまざまなデータを理解しやすい形に分類することで相互に理解できる情報として伝え合っているのです。


ここまでに幾つかの専門用語が出てきています。専門用語があるということは、こうした考え方はすでに世の中に存在しているということだとお気づきかと思います。

今日は、情報アーキテクチャという技術のごく一部をご紹介しました。情報アーキテクチャは、さまざまな物事やデータをわかりやすく整理する技術です。人が言語によって物事を理解し合うための技術として、Webサイトの設計やUXデザインにおいても活用されています。


こうした技術を使って、情報の構造化と、その構造に則った記録をしていくことが、タレントモビリティを間違いなく支援することになるでしょう。


最後に参考書籍をいくつか・・・








次回は、タレントモビリティへの備えの2番目、社員の自律的なキャリア構築とその場で求められている役割を獲得する力について考えてみます。


 

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