2021年1月〜3月の3ヶ月間、大和ハウスグループの大和ハウス工業株式会社(以下大和ハウス)、大和リース株式会社(以下大和リース)、株式会社フジタ(以下フジタ)の3社はテレワーク推進の取り組みとして、株式会社Hyper-collaborationの提供するハイパー・チームマネジメントを取り入れる目的で、先行7チームに対してトライアル実施を行いました。
3ヶ月間のトライアルを経て、2021年6月7日に実践した7チーム全てが、トライアル結果と現状を発表し、学びを共有するフォーラムが開催されましたので、その内容を3社の御承諾を得て、この場で共有させていただきます。
フォーラムは、大和ハウスグループ内での女性技術者の活躍の場を広げる目的で活動してきたDHG建設技術委員会人財育成分科会女性技術者活躍推進PJの主催で第6回目の開催となります。この会には、テレワーク推進において、本トライアルの中核を担ったリーダーが参画しており、成果発表をこの場で行うこととなった経緯があります。
以下、大和ハウスグループ DHG建設技術委員会人財育成分科会女性技術者活躍推進PJ 第6回Womengineers Forum「ダイバーシティ時代のチームマネジメント」での報告内容のまとめとなります。
テレワーク推進のためのチームマネジメント実践トライアルプロジェクト概要
本プロジェクトには、大和ハウスグループ3社から、下記の活動領域から合計7チームが参画くださいました。
大和ハウス 見積、建築設計
大和リース 商品開発、構造設計
フジタ 設備設計、構造設計
チーム構成
下記の構成で最小3名、最大8名でした。
マネジメント層から、部門長、次長、課長から1名以上
主任、リーダーから1名以上
入社1年目〜6年目までの育成対象者層から1名以上
活動内容
下記のページに記載のある通りです。
プロジェクト期間
Hyper-collaboration社は、ヒアリング、レクチャー、チームマネジメント実施の支援(リフレクティブ ・コーチング)を、2021年1月〜3月の3ヶ月間ご提供しました。
4月以降は、完全にチームのみで自走する形となっています。
実践者の声
7チームそれぞれが、フォーラム開催時の2021年6月7日の時点においても、それぞれに手法を改善しながら、週次計画、朝会、ふりかえりを継続実践しており、体験からの学びや実践知を共有してくださいました。ここでは、主だったものをご紹介します。
■ Aチーム ■
2020年10月に新設された部門で、テレワーク環境下でスタートしました。業務内容としては、建築設計及び事業所の支援を行っています。
3ヶ月のトライアル後に継続、工夫している内容としては、1週間のゴール目標とその日の予定も確認を昼礼時に実施しています。また、毎週金曜日にはYWTの振り返りを行っていますが、時間的負荷を下げるために、各自が予め記入は済ませておくなどの工夫をしています。特に力を入れているのは、YWTのT(次にやること)で、ここは徹底的に深堀し、濃密な意見交換を心がけています。
チームの変化
これまで行っていた毎日のグループミーティングは、予定と連絡事項のみの機械的な「報告」会議でしたが、これが相互の「コミュニケーションの時間」に変化しました。
また、テレワークになってから見えにくかった部分が見える化される様になりました。内面的な心情や仕事に対する意識も汲み取れ、先輩を身近に感じられる様になりました。
テレワークは成果だけを評価される傾向がありますが、チームにフォローしてもらえるという安心感が生まれることにつながったとも言えます。
また、ファシリテータのスキルや、ロジカルに話す練習にもつながっていると感じています。
成長を感じられるところ
自分の立ち位置(中堅社員として後輩の育成を意識する)を考える様になりました。また、グループ全体を俯瞰して見ることが可能になりました。
経験を言語化することで、自分の頭の整理ができたり、成功/失敗の経過を含めて理解することで知識が広がってきています。
プロジェクトの成果
心理的安全性が高まりました。その結果、以下の変化が生まれています: ・DRや打ち合わせでの発言数が増えた ・問題発見が早まり、解決の相談や協力体制がスピーディーに行える様になった ・担当者が一人で悩む時間が減った ・結果として、生産性や効率性の向上に直結したと実感しています。
チームへの帰属意識が高まり、その結果、以下の点でリーダーシップが発揮される様になりました: ・役割に対して立候補する人が増えた ・改善提案が増えた ・ここが私のチームなんだ!という意識が1人1人に芽生えた ・「業務が忙しいから議論や研修の時間はもったいない」という意見から「より良いグループに成長させるためにの議論の時間をしっかり取るべき」という意識に変わった
■Bチーム■
中国四国地区の構造設計業務を担当しているチームです。意匠設計と連携し、管理職、主任は、メンバーの支援やレビューという仕事を担いながら、一般職も含めて、全員が担当をもち、一物件一担当者という体制で業務を行なっています。
今回のトライアルの内容に加えて、独自に取り組んだのは、新規依頼物件着手前の事前打ち合わせにおいて、チームメンバー全員で、問題点の洗い出しや、目標作業時間の設定を行なったことです。それにより、条件設定が明確になり、また、先に問題点を洗い出すことで手戻りが減りました。
それぞれの立場から感じている成果
メンバーから 今までは、自分でまずは作業に取り掛かり、問題点をある程度洗い出して相談やチェックを先輩にしてもらうという手順で仕事をしていた。このプロセスでは、自分が気付いていなかった問題点が後からわかり、手戻りが発生していた。今回のトライアルを通じて、事前打ち合わせと週次のふりかえり を行い、自分の気付いていない問題点に、仕事に取り掛かる前にフィードバックしてもらえる様になり、自分自身で考慮できる範囲も広がったことが、手戻りを減らすことにつながった。 また、朝会によって、個人のスケジュールと進捗状態が可視化され、先輩や上司への相談もスムーズにできるようになった。テレワークにおいても、誰が何をしているかよくわかるので、相談がしやすい。
リーダーから 後輩の業務に関して、着手前に打ち合わせをすることで、手戻りが減った。また、ふりかえりは、自分の仕事の改善や整理だけでなく、チーム内の情報共有が進み、その後の仕事に活かせる内容が多い。
マネジャーから 一物件、一担当という形で業務を行なっている中で、週次のふりかえりは、学びを共有し合う場として最適だった。このくらい短いスパンでふりかえることで、自分自身の業務の見直し、改善にも有効だと感じる。今後もふりかえりを続けることで、今までわざわざ言語化して伝えることがなかった様な仕事の進め方など、各人の暗黙知が、相互に理解できるようになり、仕事の効率化に繋がると感じる。 また、今まで、テレワークで行う仕事に抵抗があったが、その抵抗感がなくなった。通常の業務であれば、問題なく進められると思う。
■Cチーム■
設備設計を担当しているチームです。今回のトライアルでは、特に若手社員の成長の場を作りたくて、ふりかえりでの気づきの言語化に重点を置きました。
できるようになったこと
トライアル前は、各自のスケジュールは各々が自分で立てており、また、コミュニケーションも指示を出したものと、担当者間でのやりとりしかなかった。
これが、タスクボードの導入により、仕事量の偏りや、若手がつまづいている箇所が可視化され、チーム全員で共有することが可能になった。
実施後のアンケート調査結果
回答者数:30名(トライアル・プロジェクト参加総数32名中)
実施してよかった点はなんですか?
マネジャー メンバーの業務量が一目瞭然になった チーム内のでの情報共有がしやすくなった 問題把握が早くできるようになった
リーダー 朝会によって、業務開始前に不明点や業務の趣旨を上司/後輩と共有できることが、手戻りを減らすことにつながった YWTのふりかえりにより、業務改善を小さいサイクルで行う習慣が身についた 率直な意見交換が可能になり、ミーティングでの発言量が増えた
若手 優先すべき業務がわかる様になった 業務の位置づけや重要度が可視化された コミュニケーション不足を感じなくなった
取り組みの中で難しかった点はなんでしょうか?
チーム全員のスケジュールを調整して、朝かいやふりかえりを行うこと(現場直行などのケースがある)
使用したオンラインツールに慣れるまで時間がかかった
チーム力は上がりましたか?
マネジャー フォローすべき箇所がわかる様になったので、対応しやすくなった メンバー間で相談がしやすくなっている様に感じる 状況共有が早期に行われ、対策を検討する時間を確保できるようになった
リーダー メンバーの状況が見える化されているので、仕事の依頼がしやすくなった コミュニケーションをとる時間ができた チーム全体で対応しようという流れができた
若手 お互い教えながら業務に取り組む様になった 各自の経験や状況を共有することで、知識の底上げができている 自主的な発言が以前より活発になり、問題に対しての解決策を一緒に考えようという雰囲気や安心感を感じる王になった 意思疎通をとりやすくなった
役員総評
株式会社フジタ 髙須執行役員
夢中になって聞いていて、時間を忘れていました。テレワークでも工夫をすれば色々と変わっていくということがわかりました。
テレワークでの業務の質を上げたり、ストレス緩和について、これまでも考えていたが、ツールを使って定期的にコミュニケーションをとる機会をつくり、ふりかえり をする。この手法が改善にとても有効だと感じた。
本フォーラムは女性技術者を対象に行っており、250名の方が集まっているが、この話は全ての社員に共有してほしい。それにより、職場のコミュニケーションが変わっていくことを願っている。
大和リース株式会社 山本上席執行役員
実践したメンバーの発表を聞いて、わかったことがわかったとは、昨日までわからなかったことを発見できたことだと改めて感じた。一方的な報告が、双方向のコミュニケーションになったなども、それ自体に気づいたということが素晴らしい。気づいて、行動して、改善することはとても重要だ。
ぜひ、守破離というプロセスを追いながら、継続して行って欲しい。
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