リレーブログ#06 "良いチーム" の何が変わったのか?

更新日:9月14日

(このブログは、Graat社とのリレーブログ『チームとテクノロジーの幸福な関係』の記事として投稿しています。)


コラボレーション研究家の吉田裕美子です。


組織活動においては、個々のチームがどの様な関係性で、リーダーシップがどう発揮されているかは、常に、そこで働く人たちの中核にあるテーマです。


関係性がよく、しかも成果をあげているチームは、経営層にとってもありがたい存在ですし、同時に、そこで働く人たちにとっても気持ちよく、生き生きと働ける場所になるという好循環が生まれます。


これは、長い間、変わらない、いわゆる「良いチーム」と呼ばれるチームといえるでしょう。


では、最近のチームワークにおいて、変わった点はどの様な部分なのでしょうか?

弊社がご支援しているチームの状況や、社会の動きから、考えてみたいと思います。



チームとは、ともにゴールを目指す仲間だけれど・・


複数の人が集まったとしても、ともに目指すゴールがなければ、それはチームとは言えません。このことは、今も昔も変わらないでしょう。しかし、私たちが遭遇する「良いチーム」には、1つ特徴的な点があると感じています。それは、ゴール設定に顧客への価値提供や、社会の課題を解決する要素が含まれていることです。


多くの企業には、年次の売り上げ達成目標があり、数値目標が明確に設定、管理されてチームもあるでしょう。この数値目標自体は、経営者が知りたい情報であることは間違い無いですが、それで評価されると、どうしても視点が内向き(社内側)になります。


視点が内向きになると、どの様な問題があるのでしょうか。


もちろん所属先の会社の方針や、事業の目的、目標などを理解して、そこへ貢献しようという意欲はなんら問題ないものです。ただし、社内の達成目標や評価軸だけを視野に入れて活動すると、2つの問題が発生しがちです。


1つ目は、年度始めに立てた会社の目標が、フロントラインチームの活動にフィットしないことがあるということです。情報伝達のスピードが速く、それに応じて物事の変化のスピードもどんどん速くなる現代社会において、昨年度のうちにきっちり立てられた目標が、いつまでも社会情勢とぴったり合っているか・・と言えば、そんなことはないと考えた方が自然ではないでしょうか。社内の目標や基準、評価軸だけに目が行っていると、このズレに気づかないことすらあります。


このリレーブログを執筆してくださっている、Graatの浅木さんに教えていただいたことは、


アジャイル開発を行っているチームは、ドライビング・フォースが社外(顧客、市場、社会など)にある


ということでした。だからこそ、変化の早い市場の変化に適応して、"アジャイルに" チームのやるべきことを調整しながら進んでいくのだと。


2つ目は、社内で評価されることが目的化してしまいがちなことです。もちろん、その評価によってポジションや報酬が決まっていく側面がありますから、社内評価を無視することは難しいでしょう。でも、下手をすると、社内での評価が部門間の対立や、チームメンバーのマイクロマネジメント、成果の横取りの様なことが起きてしまうことがあります。私たちは、自分を他者に認めてもらうことを欲する生き物です。最も身近な評価者に評価されたいという思い、気持ちが、自社内の誰かと相対的に自己の優秀さを確認したくなってしまうことはよく発生することです。つまり、協調し合うべき人たちが、競い合うことに繋がってしまう。部門間の対立にもこの様な心理的な背景があることもよくあります。



どうすれば、視点を外に向けられるか?


では、内向きの目標ばかりを意識するチームではなく、組織の外を見てチームのゴールを設定できる様にするには、どうしたら良いのでしょうか?


そのためにはーとてもベタな内容になってしまいますがーその仕事は何のために行われているのか?つまり Why から導き出された、仕事のパーパス(ああ・・カタカナばかりで、こういう表現は好きではないんですが・・)が明確になっている必要があります。


では、当たり前に企業内で課せられる数値目標や評価基準があっても、Why やパーパスに立ち返るのは、どの様にして可能になるのでしょうか?


簡単な方法としては、今行っている仕事の目的を言語化することを習慣づけるプロセスを業務の流れの中に設定してしまうやり方があります。


弊社でも、プロジェクトの開始時には、そのプロジェクトの目的を記述するフレームワークを活用しています。プロジェクトマネジメントを行っている方、学んでいる方は、プロジェクト憲章(プロジェクト・チャーター)という言葉を聞いたことがあるでしょう。プロジェクトの目的、スコープ、前提や制約、予算、マイルストーンなど、そのプロジェクトの要点がまとめられているドキュメントです。大きなプロジェクトでは膨大な記述がある場合もありますが、弊社では、Confluenceのプロジェクト・ポスターというテンプレートを少しだけカスタマイズしたものを利用しています。


こうしたプロセスへの組み込みは、取り組みやすいやり方ではありますが、より本質的なことを求めるのであれば、Why が見えない状態でチームの活動が続いてしまっていることに気づくための、自己認識力を向上することも大切な側面ではあります。なぜかと言えば、人は皆、価値のある仕事をしたいという根底の欲求があり、Why が定義されていない仕事を続けているとき、人は、なんらかの信号を自分の内面や、外側から受け取っているものだからです。


自己認識は、私たちがどの様な状況のときに、どの様な感情が湧いていて、その感情は何を自分に伝えようとしているかを捉える力(内面的自己認識と呼ばれることもあります)と、その様な自分を他者はどう見ているのかを理解する力(外面的自己認識と呼ばれることもあります)の2つの側面があります。


Why が不明瞭な状態で仕事をしているときは、仕事の意味づけがしにくくなり、意思決定の軸がぶれたり、徒労感を感じたりしているでしょう。このこと自体に自分で気づき、チームの状態を変えるための対話を開始することが、視点を外に向けるきっかけになります。


そして、その様な対話は、自分のチームから始めることができます。


ご参考までに、自己認識については、こちらの書籍に詳しく書かれていますので、よろしければ・・・。




今日は、「良いチーム」の定義はどの様に変わったのかを探求してみました。

社会の変化のスピードが速くなっているからこそ、チームは、内向きのゴールではなく、外向きのゴール、Why から導き出されたパーパスを見出すことで、その仕事の意味づけも、パフォーマンスも向上することが期待できます。



次回は、Graatの北村さんが、ITはちょっと苦手・・という方へのスキルトランスファーについて教えてくださる予定です!!楽しみです!!